だれもが最初から、うまく歩けたわけじゃありません。器用でも不器用でも、支えてくれた人は必ずいるはずです。
そんな恩人のことほど、忘れがちなものです。いなくなって初めて、大事だと思える――哀しい世の常。
しかし、そばにいなくとも、絆は消えないことがあります。触ることのできない遠くにいても、支えられていることがあるのです。
だからアストリアは憶えています。兄のぬくもりを、愛のある場所を。
信じるそのとき、少しずつ人は強くなっていくのでしょう――。