ゲームミュージックの歴史は、ハードウェアの技術の進歩と密接な関係をもっています。ビープ音から始まって、PSG、FM、PCMと進化していく過程で、音楽表現の幅が徐々に広がっていきました。初期のゲームミュージックは聞いてすぐにゲームミュージックであることがわかる、いわゆる「ピコピコ」音でしたが、現在ではすでに映画音楽と同レベルの音楽表現が可能になっているわけです。
それに伴って、ゲームミュージックの役割そのものも変化してきているのではないかと思います。画による表現力が乏しい時代には音楽が全面に押しだされていましたが、ムービーや3D描写によるリアルな画面が実現した現在では、ゲームミュージックはかなり後ろに引いているように見えます。
もちろん、ゲームミュージックの最大の役割は、そのゲームに彩りを添えることであり、現在主流になっている映画音楽的アピローチは正しいものだと思います。
Return to Farlandでは、サウンドがまだ存在を強く主張していた時代のゲームミュージックをコンセプトにしています。ただし、ただ強くアピールすればいいというのではありません。それは、ゲーム・コンセプトやシナリオ・コンセプトと歩調を合わせるという意味もあるからです。
Return to Farlandのサウンドデータは、どのPCでも再生できるように(音が出ないという事態に陥らないように)融通の利くデータにしてあります。MP3やWAVEを採用すれば音質は比にならないほどよくなりますが、当初からダウンロードによる配布を考えていたことと、内部的な仕様として音楽が延々とループさせることができなかったので、今回は見送りました。
Return to Farlandをプレイしている時、コントローラーから手を話しても、延々と音楽はループし続けます。そのタイミングにはとても気を使いました。ユーザが一息ついたとき、ふとサウンドに耳を傾ける時間があれば幸いです。